2023年1月21日開催「麻生子八咫&山田武彦 活動写真弁士の音楽口演会」〜麻生子八咫 出演者インタビュー
ー 会場の雰囲気やお客さんの反応はどうでしたか?
麻生:会場の雰囲気は最高ですね。ちょうど良い空間で、しかもお客さんの顔が見えやすいような、非常にお客様を近くに感じる空間だったと思います。劇場の作りだと思うのですが、椅子の配置などもこれ以上ないのではと思うくらいパーフェクトな劇場でした。
―ありがとうございます。
麻生:お客様の反応も手に取るようにわかったので、今退屈しているのかな、ここが今日のお客様が面白いと思うツボなのかなというのを探りながら、話も出来たのではないかと思います。
―ダイレクトにお客様の反応が伝わってくるという。
麻生:そうですね。終わった後も、会場に来てくださった方がニコニコと笑顔を見せてくださったので心救われる思いでした。
ー今回のプログラムはジゴマとチャップリンの冒険を上演しましたが、どういった意図で構成されたのでしょうか。
麻生:そうですね、こういうご時世なので笑ってほしいなと。あまり暗いものは持っていきたくないなということでドタバタコメディのチャップリンを持ってきました。またおそらく活弁を見るという機会はあまり多くないと思ったのでチャップリンと言ったら皆さん知っているかなと。ジゴマは昔一世を風靡して、子どもたちからご高齢の方まで熱狂した映画が今どうなのか、今のお客様にも通用するのかというのを私も見てみたいし、おそらく通用するだろうと。今日のお客様は比較的年齢層が高かったですが、お子さんが来ても十分楽しめるような演目を設定したつもりです。
―実際はどうでしたでしょうか。
麻生:非常に素直なお客様が多いのかなという印象を受けました。「ジゴマ!」とやった時にワッとなるような感覚を感じてくださるお客様の反応がいくつかあったので良かったのかなと思っています。
写真で即興の物語を作っていくというのは人生初挑戦だったので、心震えました。でも、そういうのも、今の弁士たちは基本的には稽古して稽古してお客様に見ていただくやり方ですが、昔はサイレント映画、封切りの新しい映画が入ってきて、即、即興でお客様に語っていかなくてはいけない技量が、別の技術が必要だったわけで。昔の弁士さんたちが持っていた技術もちょっとこれから取り入れていきたいなということでの新しい挑戦でした。
ー活弁を始めたきっかけはどのようなことだったのでしょうか。
麻生:父親が活弁士だったというのが一番の理由です。まったく喋らない子ども時代を過ごしていましたが、自分にはできないけれども父親が舞台上で語ることによってお客様が泣いたり笑ったり喜んだり困ったり切なくなったり、いろんな感情を揺さぶられているというのを観客として小さい頃から見てきて、人の心を動かすということを自分もやってみたいなと思って、自分もやりたいと言いました。
ー活弁の魅力を教えてください。
麻生:やっぱりライブですね。録音とかではなく、私はお客さんが大好きなので、今日のお客さんはどういうお客さんなのかな、今日劇場に来てくれたお客様のためだけに頑張りたいという人間なので、そこのお客様と私とのコミュニケーションみたいなものが一番の醍醐味です。だからこそ映画はもしかしたら別のところで見られるかもしれなしけれど、ここでその人たちだけのためにやるパフォーマンスみたいなものを常に目指しているので毎回本当に緊張しています。
ー写真を即興で当てていくというのは本日初めてということでフレッシュな形のものだったと思いますが、今後も同じようなことを別の機会があればと考えていらっしゃいますか
麻生:そうですね。これからヴァージョンアップして。今回は一見してお客様は即興かどうかわからないですが、これから可能性としては本当に即興の、例えば事前にSNSに投稿してもらった写真を使うとか、ルーレットで突然知らない写真が提示されて、その写真と次の写真との筋を繋げていくみたいなストーリーテラーはこれからチャレンジしてみたいなと思うところです。
―お話を伺っていると、面白そうだなと思います。
麻生:ありがとうございます。なので、魅力といったらライブ性ですね。
ー最後にこのインタビューをご覧になられている方へメッセージをお願い致します。
麻生:ご来場いただいた方、本当に本当にありがとうございます。お会いできて大変光栄だと思います。このご時世ですので交流は難しかったのですが、その中でも皆様と心が繋がった瞬間があったのではないかと思い、大変嬉しく思っています。また、観ていない方、活弁というのが一見してサイレント映画、昔の古い映画だから面白くないのではと思う人がいるかもしれないけども、これは、本当に百聞は一見にしかず。実際に来ていただいたらその迫力や臨場感みたいなもの、今回でしたらたくさん笑っていただいて、大怪盗のジゴマにびっくりしていただいて、興奮していただいて。そういうようなハラハラドキドキワクワクするような舞台をお届けいたしますので、ぜひまたの機会のご来場いただきたいと思います。